さい帯血保存のステムセル研究所で、疑問に思ったことを聞いたことの記事だったのですが、骨髄バンクへの問い合わせが増えているということで、修正・加筆しました。
骨髄ドナーとさい帯血ドナー、どう違うの?
池江璃花子選手が白血病だと公表し、日本中に衝撃が走りました。
白血病の代表的な治療法としては骨髄移植があり、肉親で適合者がいれば良いですが、いなかった場合は骨髄バンクに登録しているドナーに頼ったり、さい帯血バンクに保存されている造血幹細胞を利用することになります。
まず骨髄バンクへの登録から、実際にドナーとして提供する時の流れを書きます。
骨髄ドナー登録できる人の条件
年齢18〜54歳まで
体重 男性45キロ以上 女性 40キロ以上
健康な人(服薬をしている、気管支喘息や慢性疾患がある、高血圧、肥満の人などは除外)
骨髄ドナーとして提供するまでの流れ
- まず、ドナー登録をします。
- ドナー候補者には封筒で通知が来るので、「提供できる、できない」を返信
- 「提供できる」と書いた人にはコーディネーターから説明
- 調整医師から説明、問診、診察、採血
- 検診結果が問題なければ、ドナーの中からベスト・ドナーが選ばれる
- 確認検査
- 最終同意(ここで同意した後はやめられない)
- 健康診断
- 採血(移植1〜3週間前に400ml〜800ml、自分の血をとっておく)
- 骨髄移植入院(3泊4日)→全身麻酔(2〜6箇所針を刺す)
- 健康診断
骨髄からは全身麻酔をした上で腸骨(ちょうこつ)という骨盤の骨から採取するそうですが、何箇所も針を刺すので、痛みが残ることもあるそうです。
採取する骨髄液の量は500mL〜1Lだそうです・・・。
以前は提供者が骨髄液採取のために仕事を休んでも賃金への保証などはありませんでしたが(支度金で五千円もらったという情報は読みました)、最近は住んでいる自治体によっては助成金が出るようで、金額などは自治体によるようです。
(助成金が出る自治体だった場合)提供者がいざ提供する際に、時間、体力、働いていたら入るはずだった給料や有休なども全負担だった以前よりはハードルは少し下がったかもしれません。
とはいえ「献血」のようにすぐに終わる、というようなものではありません。
もしドナーに決まったら、仕事の調整や家族にも負担がかかったり、協力をしてもらったりしないといけないので、家族とも話し合ったうえで登録した方が良いと思います。
さい帯血バンクの場合
さい帯血は、出産時の胎盤とへその緒に入っている血液を取り出すものなので、提供者側は痛みやリスクなどはありません。
(しかし採血・問診票の記入などはしないといけないようです。)
以前↓書いた採取・保存の方法はステムセル研究所のものなので、公的バンクとは少し違うかもしれませんが、おそらく大筋は同じだと思います。
ただ、出産時の状況によってはさい帯血を取れないこともあったり、取れても基準量に達しない場合もあるそうです。
骨髄ドナーと、さい帯血ドナーの負担度を考えたら、断然さい帯血ドナーの方が軽いです。
提供者側というより、病院側に採取・輸送などの負担がかかるので、さい帯血提供に協力できる病院は限られています。
興味のある方は、下記に公的さい帯血の提供を行える病院の情報が載っています。(骨髄バンク情報もあります)
提供者側は無料です。(実際に保存されるかどうかは、取れる量や母親・子供の健康状態によると思います)
もし家族がさい帯血を必要とする病気になったとしても、優先して使うことはできないとされています。(しかし子供にとっては100%合致するさい帯血があるんですから、もし残っていた場合は本人のものが利用できる可能性はあるかも?)
私が長男を産んだ産院では民間のステムセル研究所のみの取り扱いでした。
こちらは民間なので費用はかかりますが「本人・家族の使用」ということになります。
ステムセル研究所と提携している産院の情報はこちら↓
胎盤(さい帯血)は医療廃棄物?それとも宝の山?
長女・次女の時はさい帯血の存在すら知りませんでしたが、次女の時は助産院で産んだので、その時初めて自分の胎盤を見ました。
正直、見る機会なんてないですものね・・・。
グロいかもしれませんが、巨大なレバーの塊みたいな感じでした。
後から思うと「あれ、捨てちゃったんだ・・・あの中にいっぱい幹細胞が詰まっていたのに」って思います。
普通なら胎盤(からつながる臍帯も)は「医療廃棄物」ですが、再生医療に有効な幹細胞がたっぷりの「宝の山」だった!
胎児のために作られた養分(そしてそのままでは捨てられていたもの)が、誰かのためになるとしたら嬉しいですよね。
ちなみに胎盤を食べる人もいるそうですが(!)私はとうていその気にはなりませんでした・・・。
それに食べても、成分的には「レバー」と変わりない気がします。
しかし近い将来、ips細胞も治療に実用化されるかも?
2012年に山中教授がノーベル生理学・医学賞を受賞して広く知れ渡ったips細胞。
これは、多機能性幹細胞を人為的に作り出したものです。
以前ノーベル文学賞を受賞した小説「わたしを離さないで」の感想を書きましたが↓
この小説は、誰かの臓器提供のために作り出された存在(クローン)が主人公で、科学の進歩とそのために犠牲になる存在をあらためて考えましたが・・・
ips細胞の場合は本人の細胞をリセットして違う幹細胞にするんですから、その点もすごいなと思います。
本人の皮膚や血液からips細胞を作り、再生医療治療に役立てることができるようになれば、ぶっちゃけさい帯血バンクや骨髄バンクはいらなくなるの?
なんて思ったのですが・・・
今、骨髄バンクに登録してあるドナーの中で、拒絶反応が起きにくい型を持っている細胞をips細胞で培養し、それを実用化しようと研究されているようです。
それが成功すれば、日本人の80~90%に拒絶反応が出ない幹細胞がストックできるとか・・・。
ips細胞で造血幹細胞を作り出すことがアメリカで成功した、などの報告もありますが、日本で一般的に実用化されるのはまだ時間がかかりそうですね。
だけどもしかして数年後には「ドナーが見つからない!」ということはなくなっているかもしれないな・・・と思います。