最終章です。
お見舞の翌日の夕方、家にいるとハッとするほどきれいな夕焼けが空に広がっていました。
私の頭の中に、病室で横たわっているMさんの姿が浮かびました。
この夕焼けの光を彼女は感じているんだろうか?
何を考えているんだろう?
何を思っているんだろう?
水も飲めなくなっていたMさんの最後の時が近づいているのを感じ、私も常にMさんのことが頭から離れませんでした。
そして・・・お見舞いから3日後、Mさんは亡くなりました。
Mさんが亡くなったというお知らせに、幼稚園のママさんたちは驚愕しました!
ガンで闘病していたということもほとんどの人は知らず、またつい最近のイベントでは元気に歩いていたのですから、当然だと思います。
闘病を知っていた私でも、共通の友人からMさんの余命があとわずか、ということを知らせてもらって会っていなければ、到底信じられなかったでしょう。
告別式の日には、最近彼女と親しくしていたというママさんから
「私もお見舞いに行きたかった!闘病を話して欲しかった」と言われました。
ですが、亡くなったのがあまりにも急だったこともあり、最近誰が彼女と親しくしていたかも知らず、言いようがありませんでした。
でも、(私)さんよりも親密にしていたはず、なのになぜ?と思う気持ちもわかりました。
私自身も、彼女の貴重な人生の最後の瞬間に、なぜ私が立ち会えたのか・・・と考えました。
告別式であった他のママさんたちに、Mさんはフラダンスを始めていたという話も聞きました。
やりたいことをやっておこう!と思ったのか、それとも一人になって病気のことを考えたくなかったのか。
家族写真と一緒に、色々な思い出の品が棺に納められました。
一度も着ることのできなかったフラダンスの美しい白いドレスも・・・。
彼女が着ていたらどんなに似合っていたかと思うと、苦しかったです。
早すぎるMさんの死は、私にとっても衝撃でした。
やりたいことはやっておこう!毎日精一杯生きよう、と前にも増して思うようになりました。
でも毎日家事、仕事、子供達それぞれの保護者としての行事・PTA・病院・・・。
毎日があっというまに過ぎてしまいます。
でもMさんが亡くなってからしばらく日が過ぎ・・・
ふと、Mさんが最後に思っていたのは、自分の人生でやれなかったことへの悔いではなく、Mさんが生まれてから出会った美しい風景や自然、親しくした人たちの記憶だったのではと思いました。
実際はわかりません。
わからないからこそ、ずっとMさんはどうだったのかな、と考え続けると思います。